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HUMAN
2022.2.10

ブラックバスと戯れる、大人の放課後 #go_fishing

スタイリスト望月唯、釣りの原体験に迫るインタビュー

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スタイリストとして30年近く第一線で活躍する望月唯さん。ファッション雑誌で着こなしの提案をすることはもちろん、アーティストや芸能人のスタイリング、広告、メディア、ブランドのディレクションなど、東京でクリエイティブな仕事をされています。
そんなベテランスタイリストが、いま夢中になっているのは幼少期から親しんできた魚釣り。長年渓流をメインとしていたそうですが、ここ数年はブラックバスとの強烈な駆け引きに夢中になっているんだとか。今回は望月さんと釣りとの出会い、そして生活への取り入れ方についてお話を伺いました。

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ー多忙な日々の暮らしの中で、どうやって自分の時間を捻出しているんでしょうか?

僕の仕事のいいところは、ある程度自分主導でスケジュールを調整できるところ。平日でもやりくりすれば時間も作れるんです。とは言え、家庭を持っていれば、時間は作らない限り生まれないので、時間を見つけては貪欲にやりたいことをやっています。

遊びに関しては、ちょっとした時間で楽しめるものをチョイスしているから充実しているのかもしれません。例えば一人で行っても参加できる個サルとか。家で楽しめる音楽とか、仕事帰りにいく釣りとか、一人でもできる遊びが好きなので。

ー望月さんが趣味として釣りに興味を持ったのはいつごろからですか?

僕の出身は静岡県富士宮の山あいで、周りに渓流が多かった。というか家の隣にも川があって、なんならテラスからでも釣りができるような環境で育ちました。時代も時代で、田舎ですし、小学校の頃は友達と一緒にマスとかハヤを釣るのが1番の遊びでした。当時流行したインベーダーゲームができるゲームセンターも少し離れたところにありましたが、基本的には釣りするかサッカーするぐらいしか娯楽がなかったんです。

一応その頃もルアーも存在してましたが、僕がやっていたのは餌釣りで、近所のおじさんが教えてくれた方法で釣ってましたね。とにかく田舎だったので、川や山で遊ばないという選択肢がなかったんだと思います。

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ですが中学校になると剣道部に入ったり、友達とサッカーをして遊んだり。さらに音楽に興味を持ってからはバンドも始めちゃったから、外遊びなんかには全然興味が無くなって。再びアウトドアに興味を持ったのは、東京に出て仕事もひと段落落ち着いた30歳を過ぎた頃でした。レイブや野外パーティー、野外フェスに行くようになって、その流れでキャンプを始めたんです。

その当時からみんなで行くキャンプも好きでしたが、一人でキャンプする楽しみも知ったので、しばらくソロキャンプにハマりました。それで、キャンプに行った時に何か暇つぶしができないかなぁと思って、タックルを買い揃えてルアーフィッシングデビューしました。

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ー音楽からキャンプに入って、そしてキャンプから釣りへ。趣味の範囲がどんどん広がっていったんですね。

そうですね。釣り自体も初めはキャンプ中の遊びのつもりだったのですが、そのうちにキャンプの目的が釣りになって行きました。アテもなく、山の方に行っては川を見ながら釣れそうな場所を探して、その近くのキャンプ場に空いてますか〜? って訪ねて泊まるという。結果、予定もなく釣り歩いてるといろんな人に出会ったりして、ご飯をご馳走になったり泊めてもらったりして。そういうのが楽しくて独身の時はちょこちょこ続けてましたね。

また、冬場は管理釣り場によく行ったのですが、そこで自然渓流と違うやり方があって、奥深い世界があることを知ったんです。全国の有名な管釣りを回りたいなと思って、旅行気分で方々に遠征したりして、あの頃は楽しかったですね。

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ー今は渓流よりもブラックバスを釣りに湖に行くことが多いとのことですが、何かきっかけがあったのですか?

キャンプとの親和性も高いので渓流ばっかりやってたのですが、渓流はどちらかというとルアーフィッシングの中でもマイノリティ。どこかでルアーの王道であるバスにも挑戦したい気持ちはあったものの、道具も知識もこれまでと違うものが必要になってくるだろうし、一度ハマったら戻れなさそうな気がしていたので敬遠していました。

ですが3年ほど前、ヘアメイクの友達に誘われてバス釣りに行くことに。その時に初めてエレキのボートに乗ったのですが、同じようにルアーを使う釣りとは言え、渓流とは全く違うスタイルに惹かれてもっとやりたくなっちゃったんです。

初回はおろか、その後半年は釣りにいってもボウズが続いたのですが、悔しくてどうやったら釣れるんだろうと本を読んだり動画を見たりして研究しているうちに、気がついたらバス釣りばっかりするようになっていて。昨年は1ヶ月間仕事終わりに毎日房総の湖に通って、2時間きっかり夕マズメを楽しんで帰るなんてこともしちゃってました(笑)。

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ー望月さんにとっての、バス釣りの魅力はどういった点にありますか?

細かく色々ありますが、大きな部分で言えば「追求できる深さがある」ところが魅力なんだと思います。アプローチの仕方にも種類があるし、それに付随して使う道具も変わることもあります。それにフィールドを読み取るという観察力もシビアに求められます。

スタイリストの性かもしれませんが、リサーチが好きな僕にはぴったりな釣り。天気に気温、水温などの自然環境と、自分が選択する道具。いろんなものを試して比較検証して、その結果として条件がマッチすれば釣れてくれる。自分の予想通りに釣れた時は快感です。

特に半年ほど試行錯誤して、最初の一匹が釣れた時は感動しましたね。自分で探し出して、どんなルアーを投げるかという勝負。バスとの騙し合いを征してして釣り上げるって、ハンティングに近い感覚なのかもしれないですね。

それに、やっぱり思っていた通りバス釣りは沼でした。ルアーやタックルが豊富だからついつい買っちゃって、そうすると試したくなるんですよね。しかも渓流と違って一年中楽しめちゃうし、季節によっても釣り方が変わるから終わりがないんです。

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ー奥さんやふたりの娘さんと一緒にアウトドアを楽しんでいますか?

娘は5歳と3歳で、まだルアーフィッシングに同行させたことはないのですが、都内にある屋内釣り堀での金魚釣りは二人とも好き。たまにみんなで行くこともあります。特に長女は釣りに興味津々のようで、YouTubeで「タイの怪魚を釣る」みたいな動画を見たりしています。

僕としては家族でキャンプにも行きたいという思いはあるのですが、少し前一泊でキャンプをした時は子どもたちが大はしゃぎで、全然ゆっくりできず。「こんなにバタバタで、これって楽しいの?」って妻に言われた経験があるので、もうちょっと下の子が大きくなるまで待っている状態です(笑)。早く一緒にキャンプをして釣りもできたらいいなぁ。

ー最後に、今後挑戦してみたい釣りについて教えてください。

バス釣りはやっと感覚を掴めてきたぐらいなので、もっと通って腕を上げたいと思うのが一番ですね。もっと思い描いた通りに釣れるよう、経験値が必要です。また、さらに欲を言えば、東京湾でシーバスをやりたいとも思っているのですが、実際問題、家族と過ごすので夜は外出は難しい。

でも、最近は僕が釣りをやっていることが知られるようになって、釣り関連で仕事の依頼も多くなってきました。だからきっと、妻に「釣りも仕事だから」と胸を張って言える日も近い……はず。仕事と家族を大切にしつつ、この調子で魚と戯れていけたら幸せですね。

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(プロフィール)
望月 唯(もちづき・ただし)
1969年生まれ。静岡県富士宮市出身。1994年にスタイリストとして独立後、FIGARO、流行通信、Men’non-no、SMART などの、雑誌をメインに、SMAP、松雪泰子、小泉今日子、サザンオールスターズなどのアーティストを担当。2000年以降は〈RICO〉のデザイナーに就任、自身のブランド〈HOWL〉を立ち上げるなど、ファッションデザイナー・ディレクターとしても活躍の場を広げる。現在もスタイリストとして才覚を発揮する傍ら、WEBマガジン〈HEADS TOKYO〉の主宰として発信も行なっている。

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